木村伊兵衛 展
写真の本道
写真には、その本質であるレンズの眼や瞬間的にものを写し出すシャッターなどがあって、そういう機能を駆使して、眼と違ったものを印画紙上に焼き付ける特質があるのである。それらを駆使して写真家が見た美しさなり、心に感じたことをカメラの機能によって新しく一枚の印画紙に定着せしめることこそが、写真の本道である。
人間のふれあい
とにかく人間の生活をとりあげたものは、どんな写真でも報道だというわけですね。広い意味の報道だから、リアリスティックなものは、すべて報道というふうになるんです。
ぼくは、いわゆる芸術写真やサロンピクチュアはきらいなんで、なんとか人間のふれあいを撮りたいということで、そんならやっぱりルポルタージュだ、というふうに考えたわけです。
写真はどこまでも真実を守ることで
絵画の抽象化とは違った道を進むものである。
単なる写実ではなく、対象をどのように感じ、どのように強く受け入れるかということだ。
そこに何か本当に作者が戦っている姿がなければならない。